Fラン夫をいつ見切るべきか――私の不発離婚 2/3

Fラン夫をいつ見切るべきか――私の不発離婚 2/3

エリートで勤勉で妻思い――そんな男性と結婚できる女性は、10人に1人でしょう。

「じゃあ、残りの9人はどうするのがいいか」を、花咲かBar管理人のmintが考えます。

(詳しい企画概要は、1回め↓をご参照ください)

今日はその2回め。前回すでに「この時点で離婚だろ」な出来ごとが頻出しました。が、その根幹を成す問題が別にあります。

それは、「Fラン夫はスーパー閑職」であること。フォトグラファーの夫とは、大手出版社のエンタメ情報誌の月例ページを一緒に担当していました。結婚前にもしばらく同棲していたりで、夫の仕事ペースは把握していたつもり。

当時はバブル景気で、週に1-2回の撮影でも、暮らすには十分以上の収入があったみたいです。一方私は、ピアノの生徒を毎日あちこちに持ち、週2回のマタニティ・スイミングに通う合間に文筆業と音楽制作も続けていて多忙。

加えて、当時の夫は料理ができず、家事のほぼ全てを私がしていて……。

夫の日々の動向を気にする余裕はありませんでした。

その状態から専業主婦になり、子育てに突入。謝礼程度のFMラジオ局のモニター業務の他は、常時泣き止まない敏感タイプの娘と「24時間戦えますか?(トレンドだった強精剤のキャッチコピー)」状態に……。

夫は毎日、午前中に出かけて夕飯前に戻りました。当時は写真現像のための暗室を別に借りていたし、夫がどこで何をしているかを疑う気持ちは皆無でした。

夜中の何度もの授乳には付き合ってくれるし。子どもを欲しがった当人が日中ずっと留守なのを、問いただす気働きなどありません。

自分のバカさに気づいたのは5年後です。

私は責任の重いフルタイム音楽制作職+ゴミ捨て以外の全ての家事・育児で、発狂寸前に。正気を失った状態で、天職とも確信した愛する仕事を辞めてしまいました。

無職になった私に安心したのか、夫はいつも家に居るようになりました。(私は起業に向けて動いていたので、娘は同じ保育園に預けていて日中は不在)

不思議に思って、「最近、仕事少なくなったの?」と訊いたその返事に仰天!

「これでも忙しくなってきたんだよ」

ええ〜っ?!  

(じゃあ、私が1年365日の死闘を繰り返す中、毎日どこで何をしていたのでしょうか……)

「この時点で離婚だろ」とはいえ、後の祭り。無収入になっちゃいましたからね……。

渋々の在宅ワーク生活は続き、娘が小5の時に元の職場に戻りました。

またしてもの発狂生活です。娘の手は離れたと思いきや、中学受験問題にすり替わっただけ。私は皆が寝静まった後、娘に教える勉強の予習を連日深夜まで。

努力は実らず、娘は遠くの滑り止め中高一貫校に進学。明け方からのお弁当作り、定期テストの勉強伴走など、相変わらずの「24時間戦えますか」状態は続きます。

で、娘が高校生の頃。またしても夫の借金問題が発覚。専業主婦ばりに、夫のおよその収入から割り出した超人的な低予算で、一度も赤字を出すことなく生活費を預かっていたのに……!

借金額は前回の3倍。母の影響で多少なりともお金の勉強をしていた私は、その額になるともはや「利子分を返すのがやっと」なことを知っていました。

夫は私に一言の相談もなく、10万円もする最新鋭の小型テレビをひょいと買ってきたり、5万円のじゅうたん張り替えをしたり。ランチも常に外食(在宅ワーク時の私は家で卵かけご飯、オフィスでは社長の奢りか近所のおにぎり屋さん)。

夫のクルマはメンテも燃費も高額な外車。次々と買い換え、外出に電車は使わずに、いつでもクルマ。

「この時点で離婚だろ」ですよね。

でも私は、心血注いで育てている娘のクレジット信用を案じました。親が自己破産ともなれば、就職や縁談に支障が出ます。(上位企業は内部調査しているとの定説)

仕方なく、親が「結婚資金に」と私名義で貯めてくれていた預金を夫に渡してしまったのです。(親の反対で披露宴をしなかったため)

もう、恥ずかしさを通り越して、過去の自分を殴りたい……。ですがこの時点でも、まだ離婚の決意には至りません。

いよいよその機が熟したのは、私に結婚したい相手ができた時。娘が小学生時分からの志望大学に見事現役で合格した、1年生の時でした。

娘が19歳未成年だったのも、決断を迷った一因。ですがこの時も夫の一言で、揺らいでいた心が一気に決まりました。

いざとなれば私の実家に頼ればいい……そんな夫の本音が透ける一言で、遅まきながら目が覚めて。

せっかく意思表示をしてくれた相手の男性にしたら、私の態度は失礼きわまりないですよね。結婚の義務も果たせない夫を、なかなか見切れないなんて……。

結局私は振られ、2度めの離婚決意は宙に浮きました。

ここではっきりさせておきます。この男性とは、断じて「不倫関係」ではありません。娘ですら信じてはくれなかったので、あなたが信じてくださるとは思っていませんけどね。

娘いわく、「証拠がない」。

そりゃそうです。不倫の証拠なら探せば出るでしょうが、してない証拠なんかあるわけないです。

けど、娘はいつの日か分かってくれる、と希望を捨てていません。「子どもの将来がポテンシャルいっぱいに花開くことを願う母親が、神さまに見咎められそうなことをしたいと思うのかどうか」を……。

おかげさまで神さまのご加護があり、娘は良縁を得て結婚。希望の職種での大企業勤務で、リモートワークをこなしながら子育て中です。

私は生まれつきクリスチャン(カトリック)なのですが、べつにキリスト教を信じているわけじゃないので、宗教話と取らないでくださいね。人智の及ばない、この世界を造った上位の存在を信じているだけ。スピリチュアルな人間ではありませんので。

この回の最後に……。

娘の希望で犬を飼ったこの時期は、賑やかで笑いが絶えない日々でした。当初は犬を「獣」と呼んで嫌っていた夫が、真っ先に犬に溺れてソファーで添い寝するほどに。

デザイン事務所では、議論が険悪にならないために犬を飼うと聞いたことがあります。家庭でも同様の効果があり、多少の不愉快は犬のお茶目な行動でチャラに。犬ではなくても、目を逸らす何かがあれば、結婚の重大な問題は先送りされるのかもしれません。

ということで、mintの不発離婚ストーリーはTo be continued..